肺炎について

Q:肺炎はどんな病気ですか?

A:肺に炎症が起きる病気のことをまとめて肺炎といいます。肺炎は、主に細菌やウイルスなどの病原微生物により肺が侵される病気です。肺炎には、感染源を吸い込んで発病する細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、真菌性肺炎などの感染性の肺炎と、薬剤性肺炎、アレルギー性肺炎などの非感染性の肺炎があります。肺炎の大部分は、前者の感染性肺炎です。細菌やウイルスは、呼吸をするときに鼻や口から身体の中に侵入しますが、健康な人は、のどでこれらの病原菌を排除します。しかし、風邪をひいてのどに炎症が起こっていると、病原菌が素通りして肺に入ってしまい炎症を起こしてしまいます。

Q:肺炎の原因は?

A:肺炎(感染性)を起こす、病原微生物は主に以下の4種類に分けられます。

(1)細菌(いわゆるバイキン)
  ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは違います)など
(2)ウイルス
  インフルエンザウイルス、アデノウイルス、麻疹(はしか)ウイルス、サイトメガロウイルスなど
(3)マイコプラズマ(細菌とウイルスの中間のような生物)
(4)真菌(カビ)

 ある病院の小児科で、入院した肺炎の子供たちの病原微生物を調査したところ、30%がウイルス性肺炎で、細菌性肺炎は16%、マイコプラズマ肺炎は11%、細菌性+ウイルス性(混合)肺炎が10%でした。残りの約30%は原因不明でした。4年に1回のイベントですが、マイコプラズマ肺炎は、なぜか4年に1度、オリンピックの年に流行する傾向があります。今年はどうでしょうか?
真菌(カビ)性肺炎は、一般的にはまれです。腎臓病や膠原病などでステロイドホルモン剤を服用していたり、白血病などで極端に免疫(抵抗力)が低下している時などにかかります。

Q:どんな症状が出ますか?

A:肺の病気、肺の炎症なので、呼吸症状が主体です。すなわち、咳や痰、ゼーゼー(喘鳴)などです。さらに、炎症の全身反応として、発熱して、食欲が低下し、水分も取れなくなって脱水症状を起こすこともあります。ひどい肺炎では、呼吸困難をきたして人工呼吸器を必要とすることもあります。昨年世界を震かんさせたSARSも、重症の肺炎(間質性肺炎)を起こして患者さんが亡くなりました。
ただ、生まれて間もない赤ちゃんでは、あまり咳も出ないで、突然ショック状態や高熱、チアノーゼ(顔色が紫色になる)を起こし、レントゲン写真で初めて肺炎と診断されることもあります。また、高齢者でも食欲不振や元気がないなどの症状のみが前面に出る場合があるので注意が必要です。

Q:どんな治療をするのですか?

A:治療の基本は、安静、保温、そして水分補給でしょう。その他に、私たちは対症療法と原因療法を行います。対症療法とは、症状を緩和させる治療法であり、咳止め(厳密には、痰の排出を促進させる薬が多い)や解熱剤などを使用します。そして、肺炎の原因となった細菌やウイルスなどを退治する治療が原因療法です。細菌性肺炎やマイコプラズマ肺炎に対して、抗生物質を使います(マイコプラズマ肺炎にはペニシリンやセフェム系抗生物質は効きません。別の種類を使用します)。そしてウイルス性肺炎には抗ウイルス剤(インフルエンザなど、まだ極々一部のウイルスにしか効果がありません)を使用します。これは、入院治療も外来での治療も基本は同じです。入院した場合は、点滴で十分な水分補給を行い、同時に点滴から抗生物質を投与したりします。

Q:肺炎を予防するには?

A:非常に難しい質問です。完ぺきにこれができれば、病院は必要なくなる?
基本的には、インフルエンザ流行期の注意点と同じです。すなわち、外から帰った後は、よく手を洗い、うがいをして感染症罹患を防ぐしかないと思います。空気中に漂っている細菌やウイルスを吸いこんで肺炎を起こすのですから。当然、禁煙も重要な予防法と思います(小児科の私は、さすがに禁煙を指導したことはありませんが)。
ちなみに、1回肺炎になると、クセになる、という事はないと思います。普通の人は、肺炎にかかっても完全に治りますし、後遺症を残すようなひどい肺炎はまれです。万が一、病的に抵抗力がない(免疫不全)場合には、1~2週間では治らないでしょう。微熱や痰がきれない咳が長期間持続しているときなどは、主治医にご相談ください。